3.11 東日本大震災から10年 羊の畜産を通した復興の取り組み

3.11東日本大震災から10年―羊の畜産を通した復興の取り組み ピックアップ

2021年3月11日。今日は東日本大震災が発生して、ちょうど10年になります。

この震災によって、多くの人の命や生活が奪われ、現在でもなおその禍根は大きいものとなっています。

羊を扱う当メディア、Life with YOU(羊)編集部でも、この震災は特別に大きな意味を持っています。というのも、編集部への制作協力をしていただいている畜産農家の吉田さんは、福島県葛尾村で羊の飼育をしているからです。

震災後に福島県葛尾村で始まった羊の畜産

葛尾村では福島第一原発事故後5年以上、避難指示の対象となっており、当時吉田さんも避難を余儀なくされました。

2016年6月に避難指示が解除された後、吉田さんは獣医師の奥さんとともに葛尾村の地に戻り、以前から取り組んでいた和牛の飼育とともに、国産の羊の畜産を始めます。

希少な国産羊肉のブランド化により葛尾村を誇る魅力的な畜産業へ

現在、国内に流通している羊肉のうち、国産のものは1%にも満たず、ほとんどが外国産という状況です(参考:日本に出回る羊肉の産地まとめ)。

そのような中で、高品質な羊肉を生産しブランド化することができれば、羊の畜産を若い世代にとっても魅力的な地域の産業に育てることができます。

実際、エサの改良など飼育における様々な工夫や羊の適切な健康管理などによって生産された葛尾村産の羊肉は品質が高く、県内だけでなく都内の有名店にも提供されるようになっています。

昨年には「メルティーシープ」として商標登録もされ、国産羊肉ブランドとしての認知も広まってきました。

メルティーシープ

現在はまだ飼育頭数が限られている状況ですが、今後増やしていくことでメルティーシープが葛尾村を誇る魅力的なブランド品となり産業となることを吉田さんは目指しています。

 

震災後の復興においては、建物や道路などハード面での修復はされても、なかなか人や産業が以前のように戻ってこないという問題がよく取り上げられます。

羊の畜産が今後さらに魅力的な事業として育つことで、本来の意味での地域の復興が進んでいくことを切に願います。

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